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第513話
手を繋いだり腕を撫で合ったり、足を絡め合ったりしながら、仕事のこと、新しく出会った友人達、結婚式の時のこと、希の二人の親友の思い出話等々…お互いに語り合った。
時折、甘い喘ぎ声を挟みながら…
そう、最初は…乳首や性器といった触れば確実に反応する箇所は避け、腕とか背中とかを撫で触っていた。
ところが、あちこちに散らばる性感帯…希は特に鎖骨と左太腿の内側、俺は耳の後ろとヘソ周り…にヒットする度に、「あ…」とか「はぁっ…」とか、吐息交じりの甘い声がついつい出てしまう。
それらを何とかやり過ごしてお互いの熱を冷ましつつ、今に至っている。
高まっては、また冷めて。
二人同時になったり、片方ずつが熱くなったり。
徐々に右肩上がりの昂りが大きくなってくる。
会話の端々に『愛してる』というたった五文字の言葉を散りばめて、それがまた新たな興奮を誘う。
それぞれに燻る熱を抱えたまま、ただ触れ合うだけの時間が過ぎて行く…
「お腹空いたな…外、暗くなってる。」
「うん。何か作ろうか。斗真、何食べたい?」
「うーん…冷蔵庫の中、何があったっけ…」
「鶏肉があるな…シチューはどうだ?」
「いいな、それ。じゃあ、イチャイチャは一旦終了して、一緒に作ろうか。」
「そうだな。…斗真、お願いがあるんだけど…」
「…何?」
「『裸エプロン』してよ。」
「はぁっ!?バカ!この状態でそんなことしてみろ!
盛ったお前に『どうぞ召し上がれ』って言ってるようなもんじゃねーか!
俺は腹が減ったんだ!メシ食いたい。」
無言の希。口が段々と尖っていく。
子供が?幼稚園児か?
あっ…泣くな、泣くなよ…
「…わかった。その代わり、メシ食った後だぞ!いいな?」
「斗真っ!!!」
甘い…俺は希に甘過ぎる…
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