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第524話

希は…俺をじっと見つめ、何か言いたそうにしている。 また、何か遠慮しようとしているのか? 俺は、吐き出しても絶頂感がじわじわと続いている身体を希に絡ませて、耳元でささやいた。 「希…俺に何をしてほしい?何をさせたい?」 少し身体を離し、ハッと俺の顔を見た希は 「…斗真…もう暫く…このままで…中にいさせて…」 甘えるような声を出して擦り付いてきた。 大人しい躾の行き届いた猛獣。 さっき散々牙を剥きオレを翻弄して、死にそうなくらいにイかせたくせに。 俺はもう、お前のものだって言ってるだろ? 「好きにしろ。」 優しく髪の毛を撫でながら、ぶっきらぼうに答えると、希は花が咲いたような笑顔を見せた。 熱いシャワーの飛沫を浴びせ、希は甲斐甲斐しく俺の世話を焼き、洗っていく。 髪の先から足のつま先まで、丁寧に。 もちろん、たっぷりと愛されて、希の熱を受け止めた俺のいじらしい中も全て。 背中から抱きしめられて広めの浴槽に浸かると、思わず ほおっ と声が出た。 仰け反るように、こてんと希の鎖骨辺りにもたれかかり 「おい、希。」 「どうした?斗真。どっか痛い?」 「痛いとこだらけだよ。ほんっと、スローって言いながら無茶しやがって。 全然違うじゃん!最後は、アレ、息が止まったぞ!俺を殺す気か?」 「ごめんって…あぁ、でもあの感触…先っぽが入って俺の形になって、無茶苦茶気持ち良かったよ… でも…斗真はいつも俺を愛という名の凶器で心臓を抉り取ってるじゃないか。 俺は斗真にメロメロなんだから。 お前の言葉や態度の一つ一つに翻弄される。」 「知ってる。それは百も承知。 でも加減というものがあるだろ?」 「だーかーらー。手加減してるじゃん。」 「アレのどこが手加減!?…あー、もう、いいや。 お前は俺のことを好きで堪んないんだもんな。 俺を大切に扱え!」

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