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第530話

三回…五回…九回…早く出ろよ! 「もしもーし。」 「親父っ!俺っ!斗真!」 「おっ、元気か?」 「『元気か』じゃねーよ!俊兄、もう出た?」 「あぁ。さっきぶっ飛んで行ったぞ。 で?亜美ちゃん、お前ん家だって?着いたのか? すまないなぁ、巻き込んで…」 「ホントだよ。一体どうしたんだ? 亜美さん、泣くばっかで何も言わないし。」 「あー…毎回恒例の行事みたいなもんだ。 気にしないでくれ。 子供のことで、意見が合わなくて爆発するんだよ。」 「子供のこと?何だよ、それ。」 「俊は、三人目がほしい。でも亜美ちゃんは無理、二人で十分って言う。 で、無理矢理、既成事実を作ろうとする。 結果、大喧嘩。挙句に家出。 …って、まあ…こんな感じかな。」 「何で止めないんだよっ!」 「ンなこと言ったって…そんな夫婦の微妙な事に口突っ込んだら、こっちに飛び火するじゃないか! そんなのごめんだよ! まぁ、そっちに行ったんなら、適当にあしらって帰してくれよ。 …どうせすぐに仲直りするんだからよ。 希君にも『迷惑掛けて申し訳ない』って言っといてくれ。 じゃあな!」 …はあっ…何だよ、それ… まぁ、家族計画はご夫婦だけでやってくれよ。 他人まで巻き込まないでくれ… ため息をつきながら希の所へ行くと、すっかり食事の用意が出来上がっていた。 「どうだった?」 心配そうな希に、実は…と説明すると 「…それは他人がどうこう言う問題じゃない。 当人同士でする事だ。 俊兄が来たら、長距離で疲れてるだろうから泊めてあげて、明日の朝一緒に帰って貰えばいい。 俺はちょっと買い出しに行ってくるよ。」 俺にキスをすると、有無を言わせず出掛けてしまった。

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