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第536話
「最初はさ『お前ら何だよ!尻に敷かれて!』って思ってたんだよ。
でもさ、みんな口を揃えて言うんだ。
『嫁は偉い!嫁を崇めろ!』
って。
そんで、毎日の家事がどれだけ大変か力説するんだ。
実は…最初、そいつらのこと、バカにしてたんだ。
でもあんまり言われるから、この間休みの日に、亜美のやってることずっと、寝てるフリして観察したんだ。
朝ご飯の準備に片付け、シーツや枕カバーなんかの大物の洗濯に掃除。
子供達の相手をしながら、お袋の用事でご近所付き合い。
昼は昼で、親父や俺もいるから簡単には出来ず、その準備と片付けをしてから買い物に行って。
帰れば休む間もなく洗濯物を畳んでから、晩ご飯の支度に掛かって、また片付けと次の日の準備。
『これ…何時間労働だ?』って思った。
それも無時給の。
これを毎日毎日繰り返し、文句も言わない。
俺んち、ブラック企業じゃねぇかってさ。
その時に初めて、奴らの言ってることが理解できたんだ。
それで次の休みの日に、亜美が出かけてる間に子供達といろいろと、まず話してみた。
俺は平日遅くてほとんど家にいないし、休みの日は接待ゴルフか寝てるかの、どっちかだから、子供達もどうやって接していいのかわかんなかったみたいだ。
斗真…さっきの質問の答え。
駿のクラスの担任は、増岡真司先生。イケメンの若い先生らしい。
仲のいい友達は…ヒデ君。甘い物が大好きでちょっとぽっちゃりの子。
勉強は嫌いだけど、将来は宇宙飛行士になりたい。
ヒロは、サファイアブルー。誕生日に変身セット約束させられた。
好きな子は、保育園の るみ先生。いい匂いがするらしいぞ。
今はすべり台がお気に入り。」
言い終わってドヤ顔の兄貴。
俺はぐうの音も出なくなった。
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