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第537話
「それでな、料理ができなくちゃ、亜美が悪阻の時や入院中にみんな飢え死にすると困るからな、週一で『男の料理教室』に通ってる。
ご飯も炊けるようになったぞ!」
胸を張って偉そうにする俊兄…
あのさ、米を炊いてくれるのは炊飯器!
兄貴じゃないからっ!
「役所の『パパの子育て教室』にも通って、抱っこの仕方やオムツの変え方、沐浴も習ったぞ。
一緒に行った奴らより、俺が一番上手かった。
産まれたら上の二人の世話もしなくちゃならんから、いつになるかわからないが休暇申請してある。」
すかさず希がツッコんだ。
「え?何日?三日?まさか、一週間?」
俊兄は、希に向かって指を一本立て、チッチッチと左右に振りながら、得意気に言った。
「二か月っ!」
「「「二か月ぅ???」」」
これまた綺麗にハモった。
「有休なんて、ほぼ使ったことがないからな。
事情を説明して納得してもらって、もしそうなったら、ほぼ取らずに消えていった有休の代わりに、会社の計らいで二か月もらえることになった。
それで亜美にも少しは身体の回復と赤ちゃんの世話に専念してもらえると思う。
俺だって何も考えてない訳じゃない。
亜美、これでも不安か?
俺じゃあ役に立たないか?」
亜美さんはどう返事していいのかわからないらしく、口をぽかんと開けて固まっている。
「亜美?」
名前を呼ばれて、フリーズしていた亜美さんが
「…そんなこと、一ミリも出さなくて…分からなかった…
そんな風に考えてたなんて…」
と瞳をウルウルさせていた。
もう一息で、亜美さんも『うん』って言いそうだ…
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