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第538話

俊兄は、急に神妙な顔つきになった。 「亜美、俺はお前を心から愛してる。 俺は上の二人の時は、全く手を貸そうともしなかったし、女がして当たり前だと思ってた。 でも、本当はそうじゃなかったんだな。 さっき斗真が言ったように、子育ては夫婦二人でするもんだ。 上のやんちゃ坊主達の面倒は、これから俺に任せろ。 もう一度、俺にそのチャンスをくれないか? 俺も努力する。 二人の愛の証を一から一緒に育てさせてくれないか?」 「………………」 「返事をすぐにくれとは言わない。 少しでもいいから、考えてくれ。」 亜美さんは、目を真っ赤にして頷いた。 俺と希は顔を見合わせて、頷いた。 後は二人で、とことんまで話し合えばいい。 「俊兄、泊まっていきなよ。ご飯食べた?」 「飯は車ん中でマッ◯齧りながら来たから大丈夫だ。 亜美だけじゃなく俺も泊まってもいいのか?」 「もう遅いし、長距離の往復はキツイよ。 ゆっくり休んで明日帰ればいいじゃん。 なぁ、斗真? その代わり、亜美さんと同じ寝室だけど… 亜美さん、いい?」 「何もしないなら…いいけど…」 「誓うよ!手は出さないから。」 「俊兄、バスタオルと着替え出してるから、ゆっくり風呂に入っておいでよ。 俺のだけど下着は新品だからね!」 「サンキュー、希!じゃあ、風呂借りるわ。」 大嵐の元がバスルームへ行ってしまった。 残った三人は大きくため息をつくと 「亜美さん、どうするの? 俊兄、あれ、本気だよ…」 「…うん…あんなに真剣だとは思わなかった。 料理教室なんて…パパの子育て教室なんて… 信じられない… どうしよう…私もちゃんと向き合わなきゃ。」 動揺する亜美さんと俺。

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