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第539話

そんな中でも、希は冷静だった。 「亜美さん、どっちにしても、今が躾時だよ! 感情に流されないで、どうしてほしいか、どうしたいのか、ちゃんと俊兄に伝えた方がいいよ。 あの俊兄が、ここまで腹括っていろんなことにチャレンジして努力してるんだ。 それは認めてあげて。 俊兄にとったら、考え方を180度変える努力をしてるんだから。」 「…そうね。希君の言う通りね… わかった。私も腹を括ってあの人に打つかる! 躾もね!」 女は強し、母は強し。 ぐっと目元を拭って微笑んだ亜美さんは、とても綺麗だった。 「家が狭いから、寝室一緒でごめんね。 なんなら、俊兄をソファーで寝かせるけど。」 「いいのよ、希君。 一晩かけて話し合うことになりそうだから。 怒鳴り声がしたら、助けに来てね!」 「わかりました。遠慮なく呼んで。」 くすくす笑う亜美さんは、何か吹っ切った感じがした。 「冷蔵庫に飲み物もあるから、勝手に開けて飲んで。」 「ありがとう。 二人がいてくれて、本当に良かった… 私、頑張るね!お休みなさい!」 「「お休みなさい!」」 亜美さんが寝室へ消えて行った。 間もなく…俊兄が風呂から上がってきた。 「希、斗真…迷惑かけてすまなかったな。 まさかお前達のとこに行ってるなんて…」 「この連休で、ホテルが満室だったんだって。 それでここに。」 「…そうか、悪かったな。せっかくの休みに。 埋め合わせはまた今度するから、許してくれよな。」 「俺達はいいよ。な、斗真? ちゃんと亜美さんの話も聞いてあげてよ。 俊兄の努力は認めるけど。」 「うん。ちゃんと夫婦で話し合うべきだよ。 …それにしても俊兄が、料理教室に子育て教室? すっげぇ変わりようだな…」 バシッ

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