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第542話
希がにっこりと微笑んで言った。
「だから、何度も言うけど子供はいらない。
斗真だけでいいんだ。」
ちゅ ちゅっ とおデコ、こめかみ、鼻先…とキスを落とされる。
擽ったくて身を捩っても、離してくれない。
「…もう…擽ったいよ…150%って何だよ…振り切れてるじゃん…」
無駄な抵抗だとは知りながら、希の腕の中でもがく。
そんな抵抗も全く気にしない希は、俺をぎゅっと抱きしめた。
「…斗真、愛してるよ…」
胸にキュンときた。
キュンどころじゃない、鷲掴みにされた。
思わず泣きそうになるのを顎を掴まれて、ガン見された。
「斗真、かわいい…」
その手を振り払って、ふいっ と横を向いた。
「…ばか。見るなよ。」
恥ずかしくって、つい言葉に出てしまった。
それでも希は気にする風もなく、俺の頭や頬を撫でまくっている。
耳がじんじんして熱を持っていくのがわかる。
頬だって、希の手の平が当たるところから、きっと赤くなっているだろう。
照明を落としてほしい。
丸見えじゃないか。
今度交換する時は、オレンジ色の強目の色にしよう。
そんなことを考えていると、ふいに唇を奪われた。
「んむっ!?」
思わず開いた唇のすき間から、舌先を捻じ込まれた。
器用に俺の柔らかな部分を擦り上げてくる。
次第にだらしなく開かれてくる口は、希の愛撫を待ち焦がれていた。
下の根元から舌先までなぞられて、腰に甘い痺れさえ起きてくる。
濃厚なキスに頭がクラクラして、その快楽に持っていかれそうになったその時、微かに甲高い声が聞こえた。
多分希にも聞こえたのだろう。
動きが止まった。
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