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第543話
思わず唇から離れ、二人で顔を見合わせた。
「おい、斗真…あれ、まさか…」
「まさかとは思うけど、人ん家で!?」
「俊兄ならヤりかねない…」
耳を澄ますと、確かに途切れ途切れの甘く甲高い声が聞こえてくる。
「…あーーっ、止めてくれよー…
明日の朝、顔合わせにくいじゃん!
俊兄泊めなきゃよかったよ…」
「あっちの部屋、滅多に使わないからスキン置いてないぞ!?
まぁ、そういうつもりなんだから、いいか…」
「仲直りしたんなら…いいか。」
二人で大きくため息をつきながら
「…なぁ、希…」
「何だ?斗真。当てられたか?俺達も…」
「ちっ、違うよっ!ばかっ!
…あの…ごめんな、俺、女じゃなくて…」
バシッ!!
「痛っ!何すんだよっ!」
「斗真、シツコイ。
解決したことをいつまでも うじうじと。
俺は150%の愛しかいらないって言ってんだろ!?
それに
俺達のセックスは繁殖目的じゃない、純粋な愛からの“まぐわい”だからな!
そこんとこ、よーーーく覚えとけよ!」
……………ひと言も言い返せない。
確かにしつこく、解決したと言いながら、うじうじと何度も繰り返して言っている。
自分でもシツコイと思ってる。
でも、これは一生ついて回ることで。
男でも出産できる異世界にでも行ってみるしか方法はないのだ。
唇を尖らせ、むうーっ と膨れる俺を希は胸元に抱きしめ
「ばか斗真。いい加減、腹くくれよ。
犬でも三度教えれば覚えるんだぞ。
お前はウサギか。」
ウサギ!?何故ウサギ!?
希は、怪訝な顔の俺の顎を掴むと濃厚なキスをかましてきた。
「我っ…のぞ…まっ……て…」
言葉が繋がらない。
息もまともに出来ない。
容易く侵入してきた希の舌に、根元からしゃぶられ、撫でられ、頭がぼんやりとしてくる。
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