545 / 1000

第545話

希がハッとした顔をして言った。 「…ごめん。俺、また調子に乗った。 斗真、心から愛してる。 お前を…抱いてもいいか?」 心からの謝罪と瞳の奥の揺らめく炎に、胸が高鳴った。 あぁ…またこうやって何でも許しちゃうんだよな… そんな顔して…ズルイよ、希。 心底惚れてるんだもん、仕方ないか… …俺も大概、甘いよな… ふっ と息を吐き 「…声、塞いでくれ…」 そう呟くと、希は目をキラキラさせて 「ずっとキスして塞いどくよ。」 と、ささやいた。 「…んっ……んぐっ……」 希は本当に俺の唇を塞ぎ、身体のあちこちを愛撫してくる。 リーチの長い腕は届かぬ所がないのじゃないか、と思うほどに、手を伸ばし撫で摩る。 手の平が触れたところが、ビリビリと柔い電流が流れるように感じてしまう。 すっかり希に調教されたこの身体は、俺の意思とは関係なく歓びを与えられ求めていく。 時折びくりと反応するのは、希が俺の弱い部分をワザと攻めてくるからだ。 俺以上に俺を知り尽くした伴侶は、全く遠慮もなく俺を翻弄する。 気が付くと、あれほど聞こえていた嬌声は、全く聞こえなくなっていた。 ふっと、満足気に抱き合って眠る二人の様子が浮かんだ。 唇を外した希が呟いた。 「どうした?あっち、気になるの?」 「…ん…声、聞こえなくなった…」 「仲良く…眠ってるんだろう。 俺はまだまだ斗真が足りないから、堪能させてもらうよ。」 俺の答えを待たずに、またキスしてきた。 滑った音が、ぐちゅぐちゅと脳内に響いてくる。 キスだけでこんなになって、また乱れ狂うのは目に見えてる。 誰のせいだよ、ばか希。

ともだちにシェアしよう!