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第546話
心の内で悪態をついても、本心ではない。
乱れ狂う自分を想像して持て余し、羞恥に悶えそうになるだけだ。
希に身体のあちこちを触られただけで感じてしまう。
思わず出そうになる声を希の唇が吸い取っていく。
「…ん…んむっ……んっ…」
下半身から滑った音がする。
いつの間にか足されたローションが、希の指を簡単に受け入れていた。
ぐちゅり ぐちゅり
その音を聞くだけで、恥ずかしくて堪らない。
思わず顔を背けようとすると、顎を掴んで引き戻された。
「俺を受け入れようとする健気なココの音をちゃんと聞いて。
…何て愛おしいんだろう。
俺のことを『好きだ好きだ』って言ってる…
うん、俺も大好きだよ。」
そう言って、また唇を塞がれた。
身体中がどくどくと脈を打っている。
体温が上がるのが止まらない。
息苦しくて、いやいやと首を振るが、希は唇を離してはくれない。
それどころか舌先を捻じ込まれ、感じた腰まで浅ましく揺れてくる始末。
耐え切れなくてバシバシと背中を叩くと、やっと口を自由にしてくれた。
はぁはぁと忙しなく息をして、涙で滲んだ瞳で見上げると、愛おし気に髪の毛を撫でられて、思わず首をすくめてしまう。
「斗真、いちいち やることが、かわい過ぎる。
そんなに煽って何されたいの?」
「…煽ってなんかない。」
不貞腐れて希を押し退けようとするけれど、がっちりとホールドされて動けない。
「愛 い奴じゃのぉー」
「何処のバカ殿だよっ!」
ぷふっ と、どちらからともなく吹き出して、大笑いになった。
「…ひっひっ…はあっ、腹が捩れた…」
「くっくっくっ…何だよ、時代劇になっちゃって…あー、腹痛い…なぁ、もうこのまま抱き合って寝ようぜ。
…家に誰かがいるのに、エッチなんて無理。」
途端に希がむくれた。
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