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第551話
まだブツブツ言う希の頬を摘んで引っ張り
「一人で寝るか?」
と凄むと、ぶんぶんと首を横に振るから仕方なく許してやった。
「斗真、痛いよぉ…」
それなのに…
半べそをかきながらもすっぽりと俺を抱え込んだ希は、首筋や頬にキスをしてくるから、今度は蹴ってやった。
ブツブツ文句を言いながら、くすんくすんと泣く希がウザくなって、それでも愛おしくて…
俺はどれだけコイツを愛してるんだろう。
俺は絶対にツンデレだと思う。
その自覚は…ある。
あぁ、この感情を持て余している。
本当は、本当は…
意識が飛ぶくらいに愛してほしいのに。
そんな思いを最大級の理性で押さえ込んで、希に擦り付きその雄臭い体臭を胸一杯に吸い込んで、そっと目を閉じた。
頭を撫でる感触に、段々と目が覚めてくる。
「……希?」
「ごめん、やっぱ起こしちゃったか…」
「…ん…今何時?」
「まだ朝の5時。寝てていいよ…」
「…何で髪の毛触ってんだよ…」
「目が覚めちゃって、目の前にかわいい顔して斗真が寝てるから…ついつい…」
「…俺を起こした罰だ。水持って来て。」
「はいはい、喜んで。」
急に広くなったベッドに起き上がり、ぼんやりと座っていると、希がペットボトルの蓋を開けて手渡してくれた。
「サンキュ」
三分の一程飲んで、希に戻す。
また取り上げて少し飲んで、また突き返した。
そのまま、ぽてんと枕に突っ伏すと
「もういいのか?」
と問われ、黙って頷いた。
希が何か言っているが、睡魔が襲ってくるのに抗うことができず、深い闇の中に引きずられていった…
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