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第555話
朝食べようと昨日買っていたパンを焼き、コーヒーもインスタントのコーンスープも、野菜サラダも全て希がセッティングしてくれていた。
すぐ食べれるように準備してくれてたんだな。
「ありがとう。」
いつものように向かい合わせに座り、手を合わせて「いただきます」を言ってから口にする。
「美味しい。ありがと、希。」
「手を掛けたものは何もないけどな。
朝パンにしようと思ってたんだけど、四人分には足りなかったから。」
「うん、ごめん。」
「斗真のせいじゃないから。
それに、落ち着くところに落ち着いたんだから、いいんじゃないか?
仲良く帰って行ったし。
あれは親や子供がいる実家でとことん話す内容じゃないし、その後の行為だって…遠慮するだろ。」
「うちでは全く遠慮しなかったくせに。」
「ははっ。いいじゃん。
遠慮なく腹割って話せる兄弟って。
避難場所だと思ってもらえばいいさ。」
「…うん。ありがとう。」
こういう考えは俺にはないな。
希だから受け入れて流してくれる。
“ホントにありがとう”と心の中でもう一度感謝して、程々に昼食を済ませた。
「はあっ…ご馳走様でした。
後片付けは俺がやるから、ゆっくりしてて。」
「いいよ。俺がやるから。」
「準備しくれたんだから、片付けは俺な?」
無理矢理希をキッチンから追い出した。
さて…急いで片付けて…シャワーを浴びなき
ゃ。
ローション、洗面所にあったっけ?
自分で出来ることはしといてやりたい。
待たせた分、早く繋がりたいだろう。
俺も…早く愛し合いたいから。
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