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第565話
「ただでさえ、俺は男なんだ。
希は『気にしない、全く気にならない』と言うけれど、それは紛れも無い事実で。
俺はきっと…ずっと心の何処かに、それが引っかかっているんだ。
お前を俺で雁字搦めにしてしまった。
本当なら…『普通』にオンナと結婚して子供を育てて、『普通』の家庭を持っていたはずなのに。
俺がそれを全部ダメにしてしまったんだ。
希から何度も『そんなことは問題じゃない』とか『斗真がいればいい』って言われたけど、本当に、本当にそれで良かったのか?
お前は…後悔してないのか?」
「…呆れた…まだそんなこと言ってんのか…
お前を選んだのは俺!
お前が選んだのも俺!
他の誰でもない、俺が一生愛し続けるのは斗真…お前だけなんだよ。
俺が抱くのはお前だけ。
他の男も女も、斗真以外のヤツには1ミリも勃たないんだって。
全てを曝け出すのも、斗真。お前の前だけ。
もう、本当に…何回伝えれば納得するんだ?
いい加減、認めろ!バカ斗真!
俺は『男のお前』を愛してるんだ!
斗真が斗真だから。それだけなんだって。」
ぐすっ…
ぽろぽろと大粒の涙を流す俺を抱きしめた希は
「斗真。つまらない『男のプライド』なんて捨てちまえ。
『俺は男だ』って思ってるから、訳分かんないことで悩まなくちゃいけないんだよ。
お前は俺に死ぬほど愛されてたらそれでいいんだ。
お前だって俺のこと死ぬほど愛してるんだろ?
相思相愛でいいじゃないか。
それとも…結婚したこと後悔してる?」
俺は希の腕の中で、思いっ切り首を横に振った。
「じゃあ、認めろ。
『遠藤斗真は遠藤希の夫 だ』ってこと。
この指輪に誓ったはずだぞ?」
希は俺の左手を恭しく掲げると、薬指の指輪にキスをした。
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