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第566話

それは…淡い照明の光に反射して、キラリと美しく輝いていた。 瞬間、教会でのあの場面が蘇り、永遠の愛を誓った俺達が浮かび上がった。 同性同士の不安定な間柄をしっかりと目に見える絆にしてくれた希の思い。 俺は…そんな希の強くて優しい思いを…信じていなかったのか。 希のために、とか言って希のせいにして、あれこれと屁理屈を捏ねて、自分を正当化しようとしていた己の浅はかさに愕然とした。 『男』であることにこだわっていたのは、俺の方だった。 俺は希の(つま)だと、何故素直に認めることができなかったんだろう。 こんな簡単なことなのに。 泣きながら謝った。 「…ごめん、希…ごめんなさい…」 無言で力強く抱きしめる希の心臓の音が心地いい。 優しく撫でられる背中の温もりが愛おしくて。 男らしい希の匂いが切なくて。 希は俺が泣き止むまで、ずっと抱いていてくれた。 「…もう泣き尽くしたか?」 パンパンに腫れた目で頷くと 「あーぁ…腫れちゃって…斗真の二重瞼が一重になってる。 冷やさないともっと腫れるぞ。 ちょっと待ってろ。」 俺をソファーに横にならせると、常備してある保冷剤を薄手のタオルで巻いて、目に当ててくれた。 「冷たっ!!!」 「それくらい我慢しろ。ブサイクになるよりマシだろ!」 むぅ と膨れて、黙り込んだ唇を奪われた。 目が見えない分、感触が凄かった。 「今夜は絶対に朝まで寝かさないからな。 お仕置き….覚悟しろよ。」 何とも恐ろしいセリフを吐かれて、ぶるりと震えた身体は恐怖ではなく、今から始まる快楽への期待感が多分に含まれていた。

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