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第567話
ガラスを叩く雨音が聞こえる。
「…雨?」
「…みたいだな。お前の涙雨ってとこか…
もう、二度と余計なこと考えないように、心にも身体にも、俺を刻みつけてやる。
一生逃れられないように。
…斗真…俺から絶対に離れるな。」
希はそう言いながら、シャツのボタンを見せつけるようにゆっくりと外し、上に放り投げた。
それは綺麗なカーブを描いて落ちていった。
露わになった上半身が、仄かな光を浴びて浮かび上がる。
コイツ、着痩せするタイプなんだよな…
美しいバランスの筋肉に見惚れてしまう。
雄の顔をした希がゆっくりと体を倒してきて
「何見惚れてんの?」
と口元だけで笑った。
ふいっと横を向いて
「見惚れてねーし。」
と、ぶっきら棒に返すと
「全部見ろよ。お前だけに見せてんだから。」
耳元でささやかれて身震いした。
ふっと希が離れる気配がすると同時に聞こえてきた、かちゃかちゃ という音に耳を澄ますと、しゅるしゅると衣擦れの音が加わった。
既に剥かれた俺の上半身は、外気にさらされて鳥肌が立っている。
あ…ベルトを外された…ジーンズも、下着も…
一足先に希よりも素っ裸になった俺は、じっと暗闇に浮かぶ希を見つめていた。
大きく深呼吸しながら、希も最後の一枚を放ると、俺に覆いかぶさってきた。
しっとりと肌が合わさり、屹立したもの同士が擦れ合う。
馴染んだ熱が、また新たな熱を呼び込む。
希が触れる所全てが熱風を呼ぶ。
「…希…希っ…」
首に腕を巻き付け、二度と離れないと誓うように口付ける。
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