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第569話
希の下半身の重量が増した。
「…ちっ…無自覚に煽りやがって…
斗真…もう、今夜は押さえが効かない。
…覚悟しろ。」
猛獣降臨。
瞬間俺の頭に、トッカータとフーガニ短調の旋律が鳴り響いた。
盛った獣。
完全に欲情した雄が目の前で牙を剥いた。
恐怖よりも期待…待望…切願…渇望…
浅ましくもそんな思いが身体を駆け巡った。
「…やれるもんなら、やってみろよ…」
思わず挑発的な言葉が口から溢れた。
その呟きを聞き逃さなかった希は、ふっと笑うと
「…起き上がれなくなっても、文句言うな。
しっかり言質 取ったからな。」
しまった!
火に油どころじゃない、ガソリンを巻いた…
燃え滾 った激情は、ダイレクトに身体を覆ってきた。
がりっ
「痛っ!」
噛まれた左の鎖骨がジリジリと痛む。
そこをぺろぺろと舐め取っていく希。
まるで肉食獣が獲物を仕留めたように。
俺は希の獲物。
喉元ではなかったのは、ワイシャツに隠れない所だからだろう。
それが喧嘩の元だったもんな。
変な所に関心しながら、希の髪の毛を撫でた。
気を良くした獣の頭は、じりじりと下がっていく。
目指すはさっき弄られて、敏感になっている胸の粒。
あの感触を思い出して、ぞわりと身震いした。
ちゅぱ
滑った音と同時に、生温かい口の中に包み込まれた突起は、健気に目一杯固く、自己主張していた。
「あっ…」
先端からお腹の奥に走る甘い痺れに、吐息が溢れた。
はむはむと食まれ、片方は指の先で転がされ、時折小さな穴に爪を立てられている。
両方から生まれる違った快感に声を上げそうになり、唇を噛み締めぐっと堪えると、それに気付いた希に、やんわりと食いしばった歯を離された。
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