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第570話

希は、俺の唇をふにふにと摘みながら 「噛んじゃだめ。唇が切れる。 声、出していいから。 思うがままに、出していいから。 俺しかいない。俺しか聞かない。 二人が愛し合って生まれる声、聞かせろ。」 そう言うや否や、膨れ上がった俺自身を握られた。 「ああっ!!!」 甲高い声が出てしまった。 そこはまだ先だろうと思っていたのに。 不意打ちで触られて、先端から びゅくりと愛液が流れ落ちた。 イった!? 握られただけで? 希は、突然の呆気ない暴発にオロオロと挙動不審な俺の頭を撫でながら 「握っただけでイくなんて、えっちな斗真だな。 もっと、もっと気持ち良くしてやる。 俺の前だけで乱れろ。」 揶揄って言ってるのではない。それはよく分かった。 身体中、これでもかと言うくらいに、撫で摩られ舐め回される。 何が何だか分からない。 自分の身体なのに、ふわふわと空中に浮かんでいるようで。 ただ、希が与えてくれる快楽に身を任せる。 希は俺の感じるとこばかり狙って舐め上げ攻めてくる。 「…やっ…そこ、ヤダっ…や…」 「『ヤダ』じゃないだろ? 斗真、もっとシテほしい時は何て言うの? 言わなきゃ止めちゃうよ。」 もう、希の言うがままに、身体も心も流れていく。 微弱な電流が流れるように、びりびりと神経を走る快楽が、俺の理性を片っ端から奪っていく。 「…くっ…そこ…っ…そこっ、舐めて…もっとシテ…」 希は心底うれしそうに 「よくできました。俺の斗真…仰せの通りに…」 そう呟くと、また乳首への愛撫を開始した。 弄り過ぎて真っ赤に腫れ上がった胸の粒は、そこだけ何か別の飾りに見えた。 しばらく絆創膏のお世話になるのか…とぼんやり考えていた。

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