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第571話

いくらぼんやりしていても、希の愛撫は続いている。 身体に刻まれていく鬱血痕。 ぴくり ぴくりと跳ねる身体を止めることもできず、その快楽に溺れていってしまう。 数え切れないほどに与えられ、その甘さを知ってしまえば、もう逃れられない。 「…くっ…希っ、希…」 「どうした、斗真?何がほしい?」 分かってるくせに。 こんな時ドSじゃん。 焦らすなよ。 黙りこくる俺を更に追い込む。 「言わないと何もしないよ。」 希の動きがピタリと止まった。 一旦火がついた身体は、内部からじりじりと甘い痺れが伝わってくる。 我慢しようにも我慢ができなくなってくる。 くっ…と奥歯を噛み締めた。 次第に痺れが疼きに変わり、体温も上がってきたのか火照り、顔が赤くなってくるのが自分でも分かる。 希は全く動かずに、俺の答えを待っている。 悔しい。 こんなに翻弄される自分が。 それにしても酷い。 俺を苛めてそんなに楽しいか? 『朝まで抱き潰す』と言っておきながら、この仕打ちは何だ? 酷い男。 それでも…愛してるんだ… ぽろっ 目を瞑り、この疼きに耐えている。 溢れた涙は、乾いたシーツに吸い込まれた。 「…………か?」 掠れた声しか出ない。 「斗真?何?」 「…俺を…苛めて楽しいか?」 「え?」 「俺は、お前のオンナだから…受け入れる…けど………こんな愛され方は、嫌だ。 俺を見つめて、きちんと、愛してくれ。 俺を愛してるなら…こんな意地悪はしないでくれ!」 「…斗真…」 あれだけ昂ぶっていた俺自身は、くにゃりと萎えて、小さくなっていた。 それに気付いた希は…

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