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第574話

テーブルにコンビニの戦利品を並べた。 飲み物、スイーツから揚げ物、スナック菓子まで。 スイーツでも食べようか。 その前にお湯を沸かして…スティックのコーヒーを準備する。 すぐに沸いたお湯を注いで…うん、インスタントでも十分だ。 んーっと…まずは生クリームたっぷりのショートケーキ! ぴりぴりと包装紙をゆっくりと剥がしていく。 甘い匂いが辺りに漂う。 ひと口 口に含むと、クリームの甘さが口一杯に広がった。 あぁ…幸せ… と、携帯がブルブル震えてる。 あー…バイブ消すの忘れてた… 画面をちらりと見ると 『希』 ウザい。 振動が消えたのを見計らって、バイブもオフ。 うわっ…また増えてる着信。 ストーカーめ。 マジで今夜は無視だ、無視。 反省しろ。反省。 テレビを付けチャンネルを変えるが、見たい番組もない。 それでも静かなのは嫌で、音楽番組にしておく。 ケーキを食べ終わり、ベッドに仰向けに寝そべった。 いつも隣にある温もりがない。 何となく心細くなりそうな感情を封じ込め、大の字になった。 さっきまで俺の身体を弄っていた、あの感触が不意に蘇る。 ヤバい。 中途半端に煽られていた身体は、簡単に火がついた。 無意識に右手が下着の中に滑り込む。 何やってんだ?俺? 片足ずつ下着を脱ぎ、下半身をモロ出しにする。 その間も右手は俺自身から離れず擦っている。 はっ…はっ…あ… 俺の右手は希の手の動きを真似して動いている。 見る間に先端から透明な液体が溢れ、潤滑油を得た右手の動きが加速する。 「あっ」 呆気なく果てた俺自身から、白濁の液が放たれて包み込んだ手の平にベッタリとついた。 快感は得ても心が冷えている。 ヒクつく蕾は愛しい伴侶を待ち望んでいた。 「希…」 一筋…涙が頬を伝った。

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