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第580話

そんな姿を見られたくない、嫌だと言う俺と。 奔放に乱れて思い切り愛されたい、何を今更純情ぶって…と詰る俺と。 二つの心がせめぎ合いながら、一度鎮火した身体に火がついた。 唇は離れぬまま、手の平で身体を(まさぐ)られる。 痺れるような快感がお腹の奥を抉って、全身に広がりゆく。 声を漏らすまいと抵抗する俺に、希は優しく唇を食みながらささやく。 「好きだ…愛してる…お前の全てを…」 ぞくりと甘い電流が背中を走った。 止められない 止まらない 希の両頬を掴み、一方的に啄ばまれていた唇に、噛み付くようにむしゃぶりついて舌を滑り込ませた。 ぐちゅり ぬちゅっ ぐちゅっ すんなりと舌先を受け入れた希の口内を嬲る。 絡み付く希の舌の根元を撫で上げ、唾液を啜った。 それを飲み込むと、さっきのスイーツの甘さがまだ残っていた。 散々嬲りまくり、名残惜しげに ちゅっとリップ音を鳴らして一旦離れ、はぁはぁと肩で息をしながら、希をじっと見つめた。 俺のなすがままにされていた希も、既に息を荒げている。 希は俺の乱れた前髪を撫で上げて優しく微笑むと、喉元を舐め上げてきた。 はぁ… 悩まし気な声が溢れた。 慌てて両手で口を塞いだが、遅かった。 やんわりとその手を外され、また喉元と耳の中を嬲られる。 擽ったくて首を竦め、希の肩を押しやろうとするが、敵わない。 首筋から鎖骨に下りてきた舌先は一直線に、存在を主張する赤い粒に絡まった。 「あうっ」 快感の波が先端から腰に抜けた。 びくりと跳ねた俺の身体を押さえ付け、希は小さな突起を弄ぶ。

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