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第583話

希は自分の顔についた俺の愛液を手の甲で拭い取ると、それをペロリと舐めた。 「…甘い…」 甘い訳なんかないだろうがっ!!! 体液だぞ!? それも雄の…精液だぞ!? 頭おかしいんじゃねーか!? 赤い顔でキッと睨み返した俺を優しい眼差しで見つめ返してきた希は 「…お前のものなら、何でも愛おしくて堪らないんだよ。 斗真…俺の伴侶…愛してる。」 反則! その顔、その声、反則! 卑怯者! 目を瞬かせて脱力した俺に畳み掛けるように、希は耳元でささやいた。 「斗真…俺だけの(つま)…愛してる。」 「あああっ」 ぐりっとしこりを押されて、俺は残りの愛液を吐き出した。 希の指だけでイかされた俺は、完走し切ったランナーのように気忙しく息を吐きながら、ぐったりとしていた。 「俺の奥さんは指だけでイっちゃったのか… お楽しみはこれからなのに…」 何とも恐ろしい台詞が降ってきた。 目の前に差し出された希の楔は、ご立派に天を向き…先端からたらりと流れ落ちる透明な液体は、黒々とした下生えに溜まり、キラリと神々しく光っていた。 綺麗だ… うっとりと眺めていたら、希が甘えるように言った。 「斗真ぁ…舐めて…」 希はじりじりと腰を進めてきた。 つんと雄の匂いが鼻先に広がる。 突き出された楔の根元から先端へ向かって、躊躇いもなく、舌を尖らせてそっと舐め上げた。 びくんと反応したそれは、また少し大きさを増したように見えた。 いつもの慣れた味が口の中に広がる。 希の味だ… イヤラシイ奴め。 たったひと舐めで大きくしやがって。 そんなに俺のこと好きなのかよ。

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