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第596話
様々な国の人種と言葉が飛び交う国。
流石アメリカ。
どんな人間だろうと偏見で見られることはない。
日本なら『外人』というだけで注目される。
俺達日本人だって、海外に出れば『外人』なんだけどな。
明らかにジェンダーと思われる人達にも、ここでは優しいとさえ思ってしまう。
偶々なのか?
よくテレビでデモやってるし、今の最高権力者は否定的だと聞くけれど。
俺達は…傍目からどんな関係に思われてるんだろう…
「なぁ、希。」
「どうした?口に合わなかったか?」
「ううん!すっげぇ美味い。このロブスター最高!
…あのな…俺達、どんな風に見られてるんだろう…」
「“新婚旅行中のラブラブカップル”そのまんまだろ。
…嫌なのか?」
「嫌じゃない!
…日本じゃ、いちゃいちゃできなくても、ここならオッケーかな…って…」
すると希は、一口サイズに切ったロブスターを差し出してきた。
「ほら、あーん。」
俺は思わずキョロキョロと辺りを見回し、誰も見ていない隙にそれに食らいついた。
真っ赤な顔の俺に
「斗真、かわいい。」
もぐもぐと咀嚼しながら、ちろりと睨み付けると、希はさも面白そうに口の端を上げた。
「もっと甘えてくれよ。」
「…誰もいないところでな。」
そう返すのが精一杯で、あとはひたすら口を動かした。
そんな甘い目で見つめんなよ。
「何だよ、余裕ぶって。」
「余裕なんかないぞ。
この後、どうやってお前を啼かそうか、そればっかり考えてる。
新婚初夜だから。
目一杯甘えさせてトロトロにして、善がらせ」
「ストップ!
…それ以上言うな…恥ずかしい…」
くふん と希が笑った。
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