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第599話
希は透明な輪っかを摘み、両人差し指で引っ張りながら
「コックリング。シリコンだから痛くないよ。
俺、我慢できなくて、速攻お前を抱き潰しそうだから…射精管理しないと、きっとお前が辛いと思って…」
獣の目が訴えている。
はっ。今更何だよ。
下着といい、ソレといい…ネットで変なものばかり頼みやがって。
「…好きにしろ…」
俺からオーケーが出て満面の笑みになった希が、嬉々として装着してきた。
「痛かったら言って。」
「痛いも何も…本当は嫌だけどな…んっ」
キスで誤魔化そうとしたってダメだからな。
一体、いつの間にこんな物手に入れてたんだろう。
それからの希は、ひたすら優しかった。
皮膚に手の平を這わせ、赤いシルシを残していく。
希が触れる所は熱を持ち、お腹の奥からきゅうっと切ない甘い痺れが次々と沸き起こる。
その切なさに比例するように、俺の身体は解けていき、息も荒くなっていく。
肝心なところは触られていないというのに。
何て節操のない身体になっちまったんだろう。
それもこれも、みんな希のせいだ。
責任取れ。
一生、俺を離すな。
小さく喘ぐ声を押さえることもできず、吐息交じりの甘い声が生まれてくる。
希、聞こえてるんだろ?
内股に吸い付く希を涙目で見つめると、それに気付いたのか、ふっと顔を上げた。
「斗真、愛してるよ。」
ふにゃ と微笑むと、またシルシをつける行為に没頭していく。
ズルい。
そうやって、俺の心も身体も、雁字搦めにして希の物にしていくんだ。
「…俺だって…俺だって…愛してるんだ。」
途切れ途切れに呟くと、破顔した伴侶が上にずり上がってきて、唇にキスをした。
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