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第605話
煉瓦作りの古めかしい建物と、近代的なガラス張りの洗練された建物が混濁する。
「うわぁ…懐かしいなぁ…
斗真!ここ、俺達が通ってたハイスクールだよ!」
「歴史を感じるな…希、ここで青春時代を謳歌したんだな。」
「うん。でも、その時に斗真がいたら…」
ちょっぴりセンチになったところへ、ユータの明るい声がした。
「ノゾミ!先生、今ここに来てくれるって!」
「ホントに!?何年振りだろう…」
そして十分後…
「おーい!ユータ!マイク!待たせたな。…ノゾミ!?
ウワォ!ノゾミじゃないかっ!
元気だったか?ますますイケメンになっちまって!」
“のっしのっし”という擬音が似合いそうな、恰幅のいい、人の良さそうなおじいちゃんが現れて、両頬を掴み髪の毛をもしゃくしゃにして、希にハグした。
「うげぇっ、先生!超久し振りだけど、勘弁してよぉ〜!」
ふおっふおっ と笑う先生と、ばちり と視線が合ってしまった。
「えーっと…君は?」
やっと先生の腕から抜け出した希は、俺の側に来て腰を引き寄せると
「先生!俺のハニーの斗真。俺達、結婚したんだ!」
そう言うと、左手をひらひらさせて指輪を強調してみせた。
俺は(いきなりカムアウトかよ)と、どぎまぎしながらも
「斗真です。初めまして…」
と挨拶した。
すると
「やるなぁ、ノゾミ。おめでとう!」
そう叫びながら、犬のように わしゃわしゃと揉みくちゃにされ、キスされ、希ごと俺をハグしてきた。
大歓迎を受けた俺達は、『後は俺達で』と言うユータを無視したご機嫌な先生に学内をあちこち案内してもらうことになった。
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