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第634話
俺は渾身の力で斗真を抱きしめた。
「お前じゃなきゃダメなんだ。
斗真、お前がいいんだ。
前の斗真も今の斗真も変わらない。
俺の愛する、俺だけの斗真だ。
お前の受けた傷は全て俺が受け止めるから…
俺から絶対に離れないで…
愛してる、愛してるよ、斗真…」
…斗真は俺の腕の中でしゃくり上げ泣いていた。
俺も…
それを聞いていたマイクも泣いていた。
しばらくして、嗚咽が小さくなった頃、斗真がゆっくりと顔を上げた。
その目には、しっかりと光が宿り、『もう大丈夫』と語っていた。
俺はうんうんと頷くと、もう一度斗真を抱きしめ、マイクに尋ねた。
「今度こそ、アイツらを逮捕できたのか?」
マイクは手の甲で、ぐいっと涙を拭き取ると
「今までアイツの親父が潰してきた罪を全て洗い出して、証拠も揃えた。
それだけでも凄い件数なんだ。
…実は殺人の疑いもある。
そしてクスリ。
これはもうアウトだ。庇いきれないよ。
プラス今回の事件…
精神鑑定したって無理だ。
どんな凄腕の弁護士を付けても負けるのは分かってるから、どんなに金を積まれても引き受ける弁護士はいないだろう。
模範囚になったって、一生塀の外には出てこれないよ。」
「…そうか。二度と俺達の前にその面 見せないようにしてくれ。
…頼む…」
「言われなくてもそうなるよ。
…ノゾミ、明日の予定はキャンセルにしよう。
トーマとゆっくり過ごしてあげてほしい。」
「ありがとう。明日夜、また連絡するよ。」
「分かった。
トーマ、ゆっくりと休んでくれ。」
「ありがとう。ユータによろしく伝えて。」
「オッケー。」
ひらひらと手を振って、マイクが帰って行った。
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