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第640話

俺は両手を大きく広げて叫んだ。 「斗真っ、来いっ!!」 斗真の顔がくしゃりと歪み、俺の胸に飛び込んできた。 その愛しい身体を受け止め抱きしめた。 「斗真…よく来たな…」 「…希っ…のぞ…み…」 しゃくり上げる斗真の身体をこれでもかと抱きしめる。 顎を掴み、噛み付くように唇を合わせる。 んぐ、ぐっ、ぐぶっ 嗚咽を堰き止めた喉から漏れる声すら愛おしい。 息苦しくなったのか、胸をどんどん叩かれ、やっと唇から離れた。 粘り気のある銀糸が繋がれ…切れた。 はあはあと喘ぐ息を整え、俺を見上げる斗真にもう一度キスをする。 手を引いてバスルームへ向かうと、向かい合わせに立った。 「斗真が嫌がることはしない。 …怖かったり、気分が悪くなったらすぐに言ってくれ。 無理強いはしないから。 …脱がせていいか?」 目に涙を一杯に溜めて、それでも俺をしっかりと見つめ、斗真が頷いた。 鼻先にキスをしてから、ジャケットを脱がせ、シャツのボタンを外していく。 びく と斗真の身体が跳ねた。 「斗真、しっかり目を開けて見てろ。 今、触っているのは、お前の夫。 斗真を愛し続ける、永遠の伴侶のだ!」 ぽろ っと頬に涙が落ちた。 それを拭いもせず、斗真は真っ直ぐに俺を見ている。 「いい子。」 流れた涙を舌先で舐め取り、目尻に溜まった涙を吸い取る。 アイシテル、アイシテル 呪文のようにささやきながら。 全てを脱がしてしまうと 「斗真、お前が脱がせてくれ。」 そっと両手を俺のシャツに添えてやった。 斗真は頷くと、少し震える手でボタンをゆっくりと外し始めた。 ぱさり ぱさっ 一枚一枚脱がされ、肌が露わになり… 二人とも生まれたままの姿になった。

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