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第650話
side:希
朱を纏い熱を持つ斗真の身体を組み敷き、「愛してる」と譫言 のようにささやきながら、それでも唾液とローションと淫液で塗れた指はくちゅくちゅと音を立て、斗真の後孔に侵入していく。
斗真は腰をくねらせ、迫 り上がる快感を逃がそうとしている。
口から溢れる甘い吐息と、俺の名を呼ぶ掠れた声。
一途にひたすらに俺を求めるその声と姿が、いじらしく、扇情的で、愛おし過ぎて涙が出てきた。
頬を流れる涙を手の甲で拭うと、俺を受け入れる入口に入れる指の本数を増やしていく。
「あっ…希…うぅん…あっ…希…」
傷跡を気にしてやる余裕は俺にはなかった。
すぐに指は二本、三本と増え、入口は柔らかく中は蠢いて吸い付いてくる。
そのまま、斗真が感じるところを容易く探り当て、執拗に攻めていると
「希っ…もう、もういいから…早くっ…」
斗真の切羽詰まった声がした。
「…だめだ…もう少し解さないと、お前が辛い…」
「いいからっ!いいから、早く…俺の中に入ってきてくれっ!
お前を…俺は希のものだと、感じさせて…」
どくん と心臓が跳ねた。
健気な伴侶が愛おしくてかわいくて、食い尽くしてしまいたいくらいに湧き上がる気持ちを抑え切れなくなった。
「…痛くしたら…ごめん」
即座に指を抜き、ヒクつく蕾に昂ぶる俺自身を当てると、少しずつ押し込んでいった。
無数の襞に迎えられ包まれて、斗真の奥へと誘 われていく。
「あっ…くるっ…希、希っ…うっ…」
快楽に蕩けきった斗真の顔は火照り、瞳は涙の膜で覆われていた。
目尻から零れ落ちる涙を舌先で舐め取ると
「全部斗真の中に入ったよ。
俺を受け入れてくれてありがとう、斗真。
柔らかくて温かくて、俺にきゅうきゅう吸い付いて抱きついてるみたいだ。」
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