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第654話
段々と意識が戻ってくる。
無意識に、横にいるはずの愛しい伴侶 を抱きしめようとするが、滑らかなシーツの感触しかない。
「斗真っ!?」
慌てて布団を跳ね飛ばし起き上がり、部屋の中を見渡すが、彼の姿は見えない。
嫌な予感に苛まれ、斗真の名を叫びながら裸のまま、次々にドアを開けた。
「斗真っ!斗真、何処だ!?斗真!」
その時、洗面所のドアが開いた。
「何だよ、騒々しい…希、どうしたんだ?」
湯上りの湯気を纏い、腰にバスタオルを巻いた斗真を見た瞬間、その場に崩れ落ちた。
「希っ!?どうしたんだ?大丈夫かっ?」
俺に駆け寄り、跪き抱きしめてくれる斗真からは、ボディソープの匂いがした。
「…斗真、いた…良かった…」
安堵から放心していた俺の背中を斗真が撫でてくれる。
「…バカ…お前を置いて何処にも行かないよ。
『一緒にいる』って約束したじゃないか。
…何泣いてんだよ。」
「だって…」
「ごめんごめん。お前がちゃんと綺麗にしてくれてたんだけど、奥から…だからシャワー浴びてたんだよ。
ほら、立って。
ベッドに行こう。」
斗真に起こされて立ち上がると、手を繋いでベッドに行った。
二人でくっ付いて布団に包 まると、ホッと一安心した。
「斗真…」
「ん?どうした?」
「身体、大丈夫か?」
「うーん…腰とアソコが痛いけど…動けてるから大丈夫だよ。
ホント無茶しやがって…」
「ごめんって。
でも、あんな奥まで入ってさ、すっげぇ気持ち良くって、止まんなかったんだもん。
仕方ないじゃん。
斗真もかわいく あんあん啼いてるし。
痛っ。」
ぺしっ と斗真に頭を叩かれた。
「ばかっ!」
ひと言叫ぶと斗真は、くるんと背中を向け布団に潜ってしまった。
隠れなかった耳が真っ赤に染まっている。
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