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第660話

俺も負けじと斗真を抱き寄せた。 「のっ、希っ!バカっ!何やってんの!?」 「んー?くっ付きたくなったから。」 「トーマ、いいじゃないか。 仲がいいのはいいことだよ。な、ユータ。」 「そうそう。ここには俺達しかいないんだから。」 斗真は何か、ごにょごにょと呟いて抵抗していたが、そのうち諦めたのか、俺の腕の中で大人しくなった。 昨日話し切れなかった話題が次から次へと出てきて、懐かしく思いながらも斗真が気になり時々見ていたが、いつもと変わらぬ様子で俺達の会話に入ってきていた。 「そろそろお腹空かない? ランチはね、バーベキューをするんだ。 隣近所にも断ってあるから大丈夫だよ。 みんな『うちもそうするよ』って。 だから臭いも気にならない。 今日のランチは、ご近所中みんなバーベキューさ。」 あははっ とマイクが笑いながら言った。 どうやら周囲にも受け入れられているらしい。 コイツらの性格なら当たり前か。 「そろそろ準備をしようか。 って言っても焼くだけなんだけど。」 『これに着替えろ』と、スウェットの上下を渡され着替えさせられた。 汚れてもいいってことか。 そして、準備万端の庭に案内され、本格的な道具にちょっと引いた。 「どうしたんだ、これ? 全部揃ってるんじゃないか? まさか今日のために…」 「いやいや、同僚から譲り受けたんだよ。 新しいの買ったからいらないってさ。 トーマ、そのダンボール取って! 火、おこすよぉ〜!」 慣れた風でユータがガンガンに炭を入れていく。 「こんな風によくやってるの?」 「うん!みんなよく遊びに来るからね。」 「日本じゃ専用の場所じゃないとできないよ。 自宅でやったらクレームの嵐だ。」 「そうなの!?持ち寄りでさ、夏場なんてほぼ毎週だよ。 時にはご近所入り乱れる時もある。」 「「えー!?」」

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