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第661話

焼き上がりを待ちながら、斗真とマイクが何やらヒソヒソ話をしている。 俺の昔話か!? それはさっき終わっただろ? 何話してるんだろう…後で問い詰めて… 「はい、お待たせ! 肉もロブスターも焼けたよー!」 やった!と群がる俺達は、いただきますっと言う間も惜しんで食らいつく。 「「「「うまぁーーーいっ!!!」」」 「火傷しないように気を付けてね。 どんどん焼くから嫌んなるくらい食べてよ!」 どうやらユータは、日本で言う『鍋奉行』らしかった… 焼け具合を確認し、焦げ付かないように上手に取り分け、自分も食べ…相変わらず世話焼きなんだな。 学生の頃よりダンチにその腕前が上がっている。 マイクも俺達を構いながら、斗真との内緒話を続けていた。 「うわぁ…もうお腹一杯だよぉ…」 「これは別腹だろ?マシュマロ!」 「あ!食べるっ!」 即答した斗真を揶揄いながら、ユータから、でかい焼きマシュマロを受け取った。 「斗真、ほら。」 「サンキュー!あちっ、熱い………美味っ!」 ハフハフと食べる斗真がかわいくて見つめていた。 「はあっ…美味かった、お腹いっぱい! 二人ともありがとう。ご馳走様! もう、入んないよ…」 「マジ美味かった!ご馳走様!ありがとな。」 「喜んでもらえたなら良かったよ、な、マイク。」 「うん!あ、後でケーキもね!」 「ケーキ!?」 「マイクが焼いたんだよ。チョコガナッシュ。 絶品だよ!」 「慰問先の施設で教えてもらったんだ。 自分で言うのも何だけど、イケてるぜ。」 斗真は目をキラキラさせている。 「…斗真は甘い物に目がないんだよ。」 「そりゃあ良かった!ホールのまま食べてもいいよ。ははっ!」 「えへへっ…楽しみだぁ…」 良かったな、と頭をポンポン撫でると、擽ったそうに首をすくめた。

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