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第672話

僅かな隙間をも許さぬように、密着した肌は擦れ合い、熱を帯びている。 ひたすらに互いの名前を呼び合い、口付けを交わして求め合う。 体位を変えては睦み合う俺達は、まるで獣のようで。 いつの間にか床にずり落ちた布団を気にすることもなく、ただ抱き合っていた。 俺は、斗真の中に何度目かの精を放ち、身体を震わせて最後の一滴まで絞り出した。 「希、愛し…てる、よ…」 息も絶え絶えに斗真が残した言葉が胸を打つ。 その言葉を口にすると、斗真は気を失ってしまった。 やっちまった。 また、滅茶苦茶に抱き潰した。 肘を付いて全体重を掛けないようにしながら身体を重ね、キスを繰り返す。 跳ねるお互いの心臓が落ち着く頃、やっと身体を離した。 粘着く体液が乾きかけて、下生えに絡み付いている。 汗でしっとりと濡れた斗真の前髪を掻き上げ、その寝顔をみつめる。 目尻に滲んだ涙を親指で拭き取った。 堪らなくこみ上げる斗真への思いは尽きることがなく、俺はしばらくそこから動けなかった。 しばらくして、斗真の身体を綺麗にしてやってから、ハタと気付いた。 シーツ…ドロドロじゃん…ヤバい。ここは兄貴ん家だった… あれ?そう言えば… ソファーの上に置かれていたタオルと一緒に、何か置いてあったのを思い出した。 何故かドキドキしながらソファーのところまで行って確認した。 …シーツだ… …義姉さん(ジェシカ)…気を回し過ぎだろ。 俺達がエッチする前提!? いや、ゲストルームだから当たり前か。 でも、助かった。 羞恥に身悶えしながらも斗真を抱いてソファーへ移動させ、シーツを交換した。 「…ん…希?」 「あ!気が付いたか? 斗真、ごめん。加減できなくて。」 「…でも、俺がそうしてほしいって言ったから。」 「うん、でもごめん。風呂入ろうか。」 斗真は黙って頷いた。

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