679 / 1000

第679話

一歩外に出ると、やはり寒い。 降る雪は、心なしか次第に強くなっているような気がしてならない。 これは…積もるぞ…明日、飛行機は大丈夫だろうか… 日本よりも冷え込みが厳しいんじゃないか!? 斗真もぶるりと身体を震わせると呟いた。 「(さむ)っ…」 「うん、日本よりも寒いかも。」 さりげなくくっ付いて背中を摩ってやった。 前を歩く子供達は結構薄着だ。 「ミリヤ、そんな薄着で寒くないの?」 「うん!ヒートテック着てるし、着膨れると太って見えちゃうから嫌なの。」 「あぁ…日本の女の子達もそうだよ。 太って見えるとか、荷物になるとか動きにくいとか…世界共通らしいな。 無理すると風邪引いちゃうのにな。」 「やだぁ、ノゾミ!おじいさんみたいなこと言わないでよー!」 「何だよ!確かに俺はお前達の“オジサン”だけどさ、“オジイサン”はないだろ! なぁ、親父…無理しないで観光は止めないか? どっちにしても休みの所が多くて入れないだろ? これ、結構積もるぞ。 俺達、風邪引いて日本に帰るのは嫌だぜ。 どうせなら家でジェシカとミリヤの作った美味いもの食べたいよ。 俺、材料代出すからさ。」 「そうだな。せっかく来たけど…年末だしな。 案内したい所はほとんど休みだし… よし、買い出しに変更だ! 斗真もそれでいいのか? ジェシカ、頼むよ。」 「はい!義姉さんに負担かかっちゃうけど…俺達も手伝いますよ。」 「任せてよ!私の料理なんかでいいの? うれしい! ついでに年始の買い物も済ませちゃうわ。 さあ、そうと決まったら何でもリクエストして頂戴!」 車内では….あれがいい、これが食べたい、デザートもよろしく、とみんな言いたい放題で。 ジェシカは必要な材料をメモしていた。

ともだちにシェアしよう!