680 / 1000

第680話

そうと決まれば、と車はスーパーを目指している。 「ウチの御用達なのよ。 何でも揃うし、オシャレだしね。 トーマも何でも作れるんでしょう? あの手際の良さは…日頃やってる人でないと無理だわ。」 「そうですね、大体は。でも、希には敵わないです。」 「二人ともイケメンで家事もできて…いいわねぇ。 今時の男性はそうでなくっちゃ! 将来困らないように、ダニエルとマイクもひと通りは何でもできるのよ。」 「それは凄い!きっとモテモテになるぞ。」 「私の彼だって! ママの強烈なひと言で、一人で何でもできるようになったの。 彼のママにも喜ばれたわ!ふふっ。」 「流石ジェシカ…兄貴はどうなんだ?」 はあっ…とため息をついたジェシカは 「そうね…頑張ってスクランブルエッグかしら。 それでも進歩したのよ! …最初はお米を洗剤で洗ったんだから… 料理はともかくとして、ゴミ出しとバスルームの掃除は、率先してやってくれてるから。」 「へぇ…あの兄貴がねぇ…」 本人がいないのをいいことに、しばらく兄貴の話で盛り上がった。 今頃、連続くしゃみが止まらないはずだ。 そのうちに、目的のスーパーに着いたようだった。 デカい。相変わらず、店構えも駐車場も、停まってる車も、全てアメリカンだ。 日本の規格に慣れると、何もかもが異様に大きく見える。 カートを二つ、それぞれダニエルとマイクが押し、ジェシカとミリヤがメモを見ながら次々と放り込んでいく。 ナイスな連携プレー。 時折、子供達が自分の好きな物を入れるのはご愛嬌だ。 「希…この通路、両サイドポテチだらけだ…」 「うん、やっぱアメリカだな。」 毒々しいお菓子や珍しい調味料を手に取っては、面白がる斗真を見る方が面白くて、ジェシカ達とはぐれそうになっては、子供みたいに叱られていた。

ともだちにシェアしよう!