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第685話
約束通り、俺は自分の皿に置かれたストロベリーソースのドーナツをひと口割って、残りを斗真の皿に乗せてやった。
「希、本当にいいの?マジ?サンキュー!」
「うん。俺はもうお腹一杯だから。
でも、無理して食べるなよ。」
「へへっ。分かってるよ!」
「トーマは本当に甘い物が大好きなのねぇ。
…幸せそうに食べてる…かーわいい!」
ミリヤに揶揄われながらも、リスのように頬張って、もぐもぐ食べる姿が愛おしくてならん!
あー、このまま押し倒したい…
「希…そんな熱烈に見なくても…斗真は逃げていかないよ。」
兄貴にまで…
「だってかわいいんだから、仕方ないだろ?
俺の斗真はかわいいんだ!」
「ばかっ!そんなこと言うなよっ!」
「本当のことだからいいじゃん!」
もう…と横目で睨んでも、かわいいだけだからな。
それからも散々みんなに弄られて揶揄われた。
『仲がいいのは良い事だ』とジェシカにその場を〆られ解散し、明日のフライトに備えて、ドーナツで満足した斗真を連れて部屋に戻ったのは、既に23時を回っていた。
風呂も一緒に入りたかったのに、「先に一人で入れ』と斗真に拒否られて少し凹んでいた。
ほんのりとボディソープの匂いを纏わせ、まだ湿り気のある身体を俺にくっ付けてきた斗真は
「ほら、いい子だから、今夜は何もしないで寝るんだぞ!
長時間飛行機の中で座りっぱなしなんだから、エッチはなし!いいな?」
「斗真ぁ…」
甘えて擦り付くと、俺の頭を撫でて
「…帰ったら…ちゃんと、な?
だからいい子で我慢して。」
渋々ぴったりと寄り添って、無言でアピールする。
大きなため息をついた斗真は「お前も脱げよ」と言いながら、バスローブを脱ぎ捨てると、裸で布団に潜り込んだ。
「いいか?抱きしめて眠るだけだから!
チョッカイ出してきやがったら、しばらくエッチは禁止にするからな!」
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