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第687話

携帯のアラームで起こされた俺達は、夕べ抱き合った姿勢のままで。 身体があちこちが、ぎしぎしと強張ってはいたものの、それ以上に心が満たされて高揚し、朝っぱらからキスし続けて斗真に嫌がられてしまった。 窓の外を見ると、昨日降り続いた雪が嘘のように、今日は快晴だった。木々の揺れからすると、きっと風は冷たく吹いているのだろう。 二センチ程だろうか、道路も屋根も、真っ白になってはいたが、このくらいならフライトには関係ないはず。 いろんなことがあり過ぎた数日間が終わり、予定通り日本に帰るのだ。 順番に熱いシャワーを浴びて目を覚まして、荷物の整理をした。 出発準備万端にしてリビングに行くと、もう既に朝食が並べられていた。 「おはよう、ノゾミ!トーマ! もう、できてるわよ!」 「おはよう、ジェシカ! 今朝も手伝わなくてごめん。」 「おはようございます! 遅くなっちゃって…すみません!」 「なーに言ってんの。さ、冷めないうちに食べて!」 礼を言って、半分ほど箸を進める頃に、賑やかな一行がやってきた。 毎日こうなのか。 ジェシカ…親父や兄貴を幸せにしてくれてありがとう。 これは、きちんと伝えなければ… 「おはようございます。お先に頂いてます!」 「おはよう。 俺も今食べてしまうから。時間大丈夫だよね?」 「おはよう!余裕あるから大丈夫だよ。」 朝の挨拶を交わし、先に朝食を済ませた俺達は部屋に戻り、忘れ物がないかもう一度チェックした。 そして、「しばらくハグもキスもお預けだから」と、斗真を抱き寄せキスを堪能してから、リビングへ向かった。

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