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第697話

バタバタしていると、インターホンが鳴った。 誰だ? 画面を見ると、宅急便の格好の男性が見えた。 「はい。」 「こんにちは〇〇便です!お届け物でーす。」 「どうぞ。」 出国前にネットで選んだ土産物が届いたのか。早いな。 しかし便利なシステムだ。利用しといて良かった。 荷物は減るし、余計な時間も使わなくて済む。 ん?玄関で声がする。 斗真が受け取ってくれたのか。 「斗真、受け取りサンキュー!」 「うん、丁度会ったから。こっちに置いとくね。」 「分かった。」 ケースも片付け、広げたおした荷物も整理して、やっと落ち着いた。 「コーヒーでも飲もうか。」 「希やってくれるの?」 「勿論。空港で買ったお菓子食べるか?」 「うん!」 あ、そういえば…何か足りない。忘れてた。 くるりと振り向いて、斗真を抱きしめた。 「斗真、ただいま。お帰り。」 斗真の腕が腰に巻き付く。 「希、ただいま。お帰り。」 顎を持ち上げて優しく…数時間ぶりのキス。 ちゅくちゅくと音を立ててキスを堪能して…名残惜しく離れた。 唇を つ…と引いた銀糸が、切れた。 「希…コーヒー…」 「うん」ちゅっちゅっ 「なぁ、お菓子…」 「うん」ちゅくっ 「希っ!!!」 「ごめん…」 頬を膨らませた斗真に睨まれて、キッチンへ退散した。 だって、やっと二人っきりになれたんだよ。 いちゃいちゃしたいじゃん! 豆をセットしてスイッチを入れると、途端にいい香りがしてくる。 斗真を見ると、どうやら二回目の洗濯に取り掛かっているようだった。 マメだよな。俺一人ならきっと明日まで荷物はそのままだろうな。 「とーまぁー!できたよー!」 「ありがと!今行くよ!」 くっ付いてソファーに座り、ひと口飲むとやっと落ち着いてきた。

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