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第698話
「時差ボケかどうかも分からない。
身体もふわふわしてるし…
昼メシ…希どうする?あんまりお腹も空いてない。」
「そうだな。
昼メシ抜いて、夜早めに食べようか。
作るのも何だか、かったるいな…
今夜は何処かで食べる?それとも何か買ってくるか?」
「かったるいけど…ご飯と味噌汁があれば俺はそれでいいんだけど…」
「そうか、そうだな。
これ飲んだらちょっと買い出しに行こうか。
冷蔵庫空っぽだし。
何か食べたい物があるかもしれないぞ。」
「うん。じゃあこれ食べてからね。」
うれしそうに、ぺりぺりと包装紙を丁寧に剥がし、中からチョコレートがたっぷりかかったプレッツェルを取り出した。
「いただきまーす。」
本当に幸せそうに食べるなぁ。
俺はそれを見てるだけでも幸せだよ。
「ん?希も食べる?」
「じゃあ、ひと口ね。」
差し出された物をひと口だけ、齧った。甘い。
コーヒーで流し込んで、なおも斗真を見つめる。
「何?」
「いや、うれしそうに食べるなぁって…
…そんなお前を見てるだけで、俺は幸せだなって…」
「希…そんなこと言われたら、俺、本当にどうしていいのか分からなくなる。
ばか。照れるじゃん。」
コーヒーを飲み干した斗真は
「ご馳走様!」
と叫ぶと、カップを持ってキッチンに逃げてしまった。
俺は、斗真のあまりのかわいさに、ソファーの上で一人悶えていた。
斗真、頼む…これ以上、これ以上俺を煽るのを止めてくれ!
お前を啼かせたくて、イかせたくて、暴れそうな俺自身を必死で押さえてるんだぞ!?
どこで覚えた?そんな必殺技を。
あぁっ、早く、早く斗真を抱きしめたい!
斗真の中に入りたいっ!
溢れる妄想と欲望を悟られまいと、平気なフリをしてカップを洗うと
「斗真!買い物行くぞ!」
腹が減っては何とやら。
ラブタイムのための買い出しに出かけるのであった。
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