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第706話
side:斗真
「斗真、潰してごめんな。愛してるよ。」
完全に意識を飛ばす寸前に、希がそうささやいてキスをした…。
髪の毛を優しく撫でられる感触に、意識がゆっくりと戻っていく。
いつものように表面を撫でて、時々犬を構うように、わしゃわしゃと擽ぐる手付き。
大きな手の平で そうされると安心する。
見慣れた壁と家具の配置。
ここは…俺達の家…日本に帰ってきたんだ。
そうだ。希にキスされて、ベッドルームに連れて行かれて…
どれくらい経ったのだろう。
乱れに乱れた。
俺も希も。
恥ずかしさを通り越して、思い出したくもない黒歴史になりそうだ。
色に欲に溺れて、求め求められた。
あり得ない深さまで侵入されて、熱い飛沫をこの身に受け止めた。
全身が、心が、喜びに震え、細胞の全てが希を受け入れていた。
目を瞬かせ、重だるい腰の違和感に苦笑する。
あれだけ激しく交われば…動けないよな。
俺が目覚めたのに気が付いた希が、心配そうに顔を覗き込んできた。
「斗真?起きた?身体は?大丈夫?」
やたらと語尾の上がるクエスチョンマーク付きの希の言葉におかしくなった。
「そんなに心配するなら手加減しろよ。」
「そんなこと言ったって…かわい過ぎる斗真が悪い。」
「はぁ?俺のせい?…希、お腹空いた。」
「うん。もうできてるよ。…起きれる?」
「うーん…ちょっとキツい。
お前、綺麗にしてくれたんだろ?ありがとう。
でも風呂も入りたいし…」
希は、ぱぁーっと顔を輝かせて言った。
「分かった!俺がっ、俺が入れてやる!」
「…いや、一人で入る。」
「えーーっ、何でぇ!?
もう、エッチなことしないからさ、ちゃんと奥まで洗わないとお腹壊しちゃうよ。
腰、痛いんだろ?捻って洗えないよな?」
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