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第711話
「んっ、のぞ、みっ…さっきシタばっかだから…」
「分かってる…無理にはしないから…ゆっくりと、時間をかけて…愛し合おう…」
希は俺を片手で抱き寄せ、空いた手でリモコンのスイッチを消した。
さっきまでの雑多な笑い声が消え、すぐに部屋には静寂が訪れた。
俺は希からキスの雨を浴びながら、腰を抱かれて寝室へ連れて行かれ、あっという間に裸にひん剥かれた。
コイツ、どんだけ俺のこと好きなんだ?
エアコンが効いているとはいえ皮膚に纏わり付く肌寒さに、ふるりと震えながら、慌てて二人で布団に潜り込んだ。
程なく、強く抱きしめてくる希にじんわりと温められ、心地良さにほおっと息をついた。
「斗真…スローで愛し合ったの覚えてる?」
「うん…時間がある時にしよう、って言ってた…あれ、凄く気持ち良かったんだよな…」
「あれ…シよう?」
脳裏にあの時の光景と快感が蘇った。
ぞくん と背中に甘い痺れが走る。
俺は返事の代わりに希にキスをすると、足を絡め隙間のないくらいにぴったりとくっ付いた。
希も、もぞもぞと自分の体勢を調節すると、俺をしっかりと抱え直した。
二人の鼓動と息遣いだけが聞こえる。
希の体温で温まった俺は、段々と眠くなってきた。
「…希…眠い…」
「何だよぉ…いちゃいちゃしようと思ったのに…
仕方ないか。今頃時差ボケが出てきたのかよ。
ワンテンポずれてんのな、お前。」
よしよし、と頭を撫でられ、その手の平の感触にすら、ときめいてしまう。
「ん…希ぃ…大好き…」
「甘えた斗真め。
よしよし。俺の胸の中で眠りな。」
何てクサい台詞なんだよ、と突っ込みたかったが、落ちてくる瞼と睡魔には勝てず、顔中に唇の感触を感じながら、間もなく意識を手放してしまった。
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