719 / 1000

第719話

時折パラパラと窓ガラスを叩く音がする。 予報では明日の朝方まで雪になっていたが、まだ雪は降っているのだろうか。 カーテンの隙間からひんやりと冷たい外気が入ってくるような気がする。 二人とも一糸纏わぬ原始の姿だ。 布団に潜るに限る。 俺が何かエッチなことを仕掛けてきやしないかと訝る斗真を布団に引き摺り込み、ぴったりとくっ付いた。 「何もしないから、そんな顔しないで。」 甘えるようにそう言うと、斗真は 「お前は手が早いからな。」 とか何とかブツブツ言いながらも、俺がすることを拒否しないで受け入れてくれている。 馴染んだ肌の感触は、最高に心地良くて 「斗真、お肌の手入れ何かしてる? イイ匂いでスベスベで気持ちイイんだけど。」 「えー?特に何も…ボディソープだってお前と同じ物使ってるし… あ…ひょっとして…アレか?」 「『アレ』って?」 「宮川がさ、ご祝儀とは別にくれたやつがあってさ…ボディオイルをくれてたんだよ。 『彼女がこれ使ってるんですけど、肌にイイらしいんですよ! 触り心地も良くなって。 ぜひ、使ってみて下さいっ!』って。 それ思い出して使ってみたんだけど…」 「柑橘系のイイ匂いだし、しっとりしてスベスベ。 なぁ、背中とか塗ってやろうか?」 「えっ!?やだよぉ。お前変なこと仕掛けてきそうだし。 それに寒いし、布団から身体出したくないよ。」 「布団に入ったままやってやるよ。 それならイイだろ?」 「…いや、謹んで遠慮する。」 「えーーっ…斗真ぁ…何にもしないから… 背中もスベスベの方が気持ちイイだろ?」 「…気持ちイイのは、“触るお前”が…だろ?」 「あははっ!ビンゴ!」 ねぇねぇと最大限な甘え方をすると、斗真は嫌々やっと折れてくれた。

ともだちにシェアしよう!