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第720話

許可を得たから、堂々と斗真に触れる! 鼻歌でも飛び出しそうな気分は、最高にハイだ。 少しエアコンの温度を高めにして、布団に押し込んだ斗真の背中だけ出るように捲る。 「寒くない?」 「んー、大丈夫。」 オイルを手の平に垂らすと、少し甘くて爽やかな匂いがしてきた。 両手で擦り温めてから、斗真の背中にそっと塗り込んだ。 綺麗に均等についた広背筋から背骨の両側へ。 解すようにゆっくりと手の平を這わせていく。 背中全体から腰骨まで、オイルを足しながら何度も何度も撫で摩っていく。 こんなんでいいのかな。 素人がやるんだから、適当だし。 俺がこうされたら気持ちイイかな、って所を摩ってやる。 斗真も『痛い』とか『擽ったい』とか文句言わないからいいのかな? 元々、男のくせに肌がきめ細やかで、何もしなくてもいいんだけど。 …これに味を占めて、男性用エステに通うなんて言わないよな!? 男でも女でも、俺の斗真には指一本触れさせないんだから!よーく釘を刺しとかないと… スベスベの斗真をこの後に…くっくっくっ… あんなことやこんなこと…してくれるだろうか、いや、してもらいたいっ! 妄想が膨らみ、一層気合が入る。 口元が緩んで…涎を垂らしそうになり、その度にキリッと引き締めた。 しばらくして斗真が俺を呼んだ。 「…希…」 「どうした?痛い?」 「違う…何か…触り方がイヤラシイ。」 「『イヤラシイ』って何? 俺は心を込めてやってんのに。」 “せっかくやってやってるのに”感丸出しにして、拗ねたように抗議すると、 「…ごめん、言い方が悪かった。 でも、何か…その…」 「何だよぉ。」 「…気持ち良くって…その…」

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