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第721話
「何だよ、はっきり言えよぉ!」
「だ・か・ら!
お前の手が気持ち良過ぎて、イきそうなんだってば!」
叫んだ後、『しまった』といった顔をした斗真は、ばふっ と枕に顔を埋めた。
耳は真っ赤で、恐らく顔も赤くなってるんだろう。
「斗真…」
あまりの衝撃的な発言に、目の前がクラクラする。
何だって!?俺の手が…俺の手が…
気持ち良過ぎるーーっ!?
「斗真、ホント?ホントにイきそうなの?
ね、ね、ね、俺の手で?ホントに?
手だけで?マジ?ホント?」
問い掛ける声も掠れてる。
ぐぐっ と、俺自身が首をもたげてきた。
「ばかっ!シツコイっ!」
枕に突っ伏して出る、くぐもった罵声も愛おしい。
「…もっと罵倒して…」
「はあっ!?変態か?お前…」
起き上がり振り返った斗真の顔は思った通り真っ赤に染まっていた。
俺は感動のあまり潤む瞳で斗真を見つめ…
斗真は、陶酔し切った俺の顔を見て…あからさまに引いた。
「…希、落ち着け。な?
まだ、マッサージの途中だからっ!
深呼吸して…吸って…吐いて…吸って…吐いて…」
斗真に言われるがまま深呼吸して、沸々と湧き上がる欲を押さえ何とか落ち着いた俺は
「斗真…お前、かわい過ぎる…」
と真顔で言うと、斗真は完全に冷ややかな視線を送ってきた。
「…やっぱ、マッサージ止める。」
「えっ!?何で?途中だよ!?
まだ、何にもしてないよ!?」
「…もう、いい。背中ベタベタするし風呂に入ってくる。」
「じゃあ、俺も!」
「一人で入る!」
一刀両断、バッサリと低音ボイスで拒否られた俺は、一人ベッドに取り残された。
そんなぁ…さっきまでイチャラブの途中だったのに…また揶揄い過ぎて斗真の機嫌を損ねてしまった…マズい…何とかしなければ!
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