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第726話
俺を見下ろしてくる瞳は、情欲の火を灯し…舌なめずりする様はまさに猛獣。
しまった…変な煽り方したか?
どっどっどっ と心臓が激しく打っている。
今から何をされるのか、期待する下半身は先走りを滴らせながらぴくぴくと脈打ち震えているのが分かる。
「…斗真…」
雄のオーラを漲らせて、希が俺の名を呼ぶ。
ごくり
嚥下した唾の音が部屋に響く。
…できるだけ平静を装い、興奮しつつある猛獣に優しく語りかけた。
「希。
飛ばしたらあと何もできなくなるぞ?
“スロー”で楽しむんだろ?
…ほら、おいで…」
グルグルと喉を鳴らしている(かに見えた)希は、一瞬獰猛な目を瞬かせたが、大きくため息をついて…俺を抱き込んだ。
そして掠れた声で、悲しげに呟いた。
「…何度交わっても、何度中に吐き出しても、斗真に対するこの思いは尽きることがないんだ…
一日中でも繋がっていたい。
お前に包まれて愛されたい、愛したい。
ごめんな斗真。
俺、お前に関しては、頭おかしいと自分でも思う。」
「偏執的だな。
ま、それくらい愛されてないとやってられないけどな。」
「え?俺、ストーカー並みの愛情なのに…認めてくれるの?いいの?」
「ふっ。何を今更。
お前が頭おかしいなら、そんなお前を愛してる俺も、かなり変だと思うけど。」
むぐぅ
突然希が力一杯抱きしめてきた。
ばか、苦しい。
でも…そんな行為も愛されてる証拠だと思う俺は、かなりヤバいと思う…
「…落ち着け、希…ほら、ちょっと力緩めて…苦しいから…」
やっと執拗に絡みついていた腕が解けた。
「どこにも行かないから。
ずっとお前の側にいるから。な?」
鼻先にキスしてやる。
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