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第738話
心臓が走っている。
忘れたくても忘れられないあの事件。
ボスの姪御さんも被害者!?
一体どのくらい被害者がいるんだろう。
叩けば叩く程、余罪のオンパレードだということか。
あれから…ユータとマイクからは事件に関する連絡はない。
現地時間の新年の日付が変わると同時に、『Happy new year!!!』の文字を持った熊が踊るスタンプと『桜の咲く頃に日本に行きたーい♡』というラ◯ンメッセージが送られてきただけ。
斗真に見せても大丈夫なように気を遣ってるのか、いつもと同じようなノリのものだった。
アイツららしいや、と斗真にも見せて、同じようにスタンプと『待ってるよ!』と至極簡単な言葉を送り返した。
きっと今も証拠集めに走り回っているんだろう。
…春爛漫の美しい季節にアイツらが本当に来てくれたらうれしいんだけど。
でも…その再会が、斗真の心の闇を炙り出したりはしないのだろうか。
それでも、頼もしい親友達に心の中でエールを送り、部屋へ戻った。
斗真は…顔が仕事モードに変わっていた。
やっぱ男らしいよな。
俺に気が付くと、途端に顔が崩れた。
イケメン崩壊。ヤバいよ、斗真。
それを見た俺の頬はカッカと火照り出し、すぐさま斗真に近付いて耳打ちした。
(ばか、かわいい顔すんな)
(ふえっ!?)
声にならない声で答えた斗真の頬に、不意打ちでキスをかまし、さっさと自分の席に戻った。
背中越しに、斗真が慌てふためいてアワアワしている様子が分かる。
ふふっ。俺の伴侶はかわいいんだぞーっと。
…斜め前から視線を感じた。
見られたか?
威嚇の意味を込めてその視線を追って睨み返すと、高橋が…俺と視線が合うと、頬を赤らめ、下を向いた。
チッ。
斗真は俺のモンだからなっ!
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