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第740話

そして今… 俺の隣に斗真、テーブルを挟んで高橋が俯いている。 ここは行きつけの一つ、和食店の個室。 リーズナブルで小洒落ていて客層も良いので、商談とかでもよく使っている。 すっかり顔馴染みになった店員の遼君がオーダーを取りに来た。 軽口を叩きながら適当に料理を選び、酔い潰れたくない俺はウーロンハイ、斗真と高橋は生ビールを注文した。 「で?新年早々話って何?」 斗真とのイチャラブタイムを邪魔された俺は、無意識につっけんどんな口調になっていた。 「申し訳ありませんっ! でも、この長期休暇の間もずっと悩んでて…もうどうしようもなくて…相談するのに適任なのはお二人しかいないと… 本当にお時間取らせて申し訳ありませんっ!」 「だから、何?」 飲んでもいないのに、既に顔を赤く染めた高橋は、意を決したように一気にまくし立てた。 「男性と結婚前提のお付き合いをするに当たっての、心構えを教えて下さいっ!」 俺と斗真は顔を見合わせ、同時に叫んでいた。 「「はあっ??」」 かわいそうに、高橋はふるふると震えている。 声を掛けようとしたその瞬間 「お待たせしましたっ!ウーロンハイと生二つっ! 続いて料理もお持ちしますよっ!」 完全に出鼻をくじかれた感の高橋は、もう涙目だ。 俺が泣かした訳ではない。 フリーズする俺達と涙ぐむ高橋の様子に、遼君が 「遠藤さーん、虐めちゃダメじゃないですか! はい、仲直りのカンパーイ!」 と、場にそぐわぬKY丸出しの言葉を吐いた。 「そんなんじゃないからっ! ちょっと、料理置いたら出て行ってくれよ!」 「はいはーい、お邪魔しましたぁー!」 と遼君はハイテンションで襖を閉めた。

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