741 / 1000

第741話

斗真が気を利かせて 「ま、取り敢えず『カンパーイ』」 「そっ、そうだな、はいカンパーイ!」 余りの驚きに引っ付いた喉を潤す。 「…高橋…お前、ノンケじゃなかったのか? 付き合ってた子いただろ? 結婚前提の同性の相手って誰?」 どストレートな質問を打つけた。 高橋はひと口喉を鳴らして飲むと、きちんと背を伸ばし答えた。 「俺、高校生の時に『ソッチ系』じゃないかと何となく思い始めて… でも、それを認めたくなくて、大学でも社会人になっても何人か女性と付き合ったんです。 勿論、身体の関係も含めて… 秋頃まで確かに彼女いました。 結婚も考えようとしたんですが……無理でした。生理的に無理で。 どうしても、将来のビジョンが見えないんです。 で、結局…“アンタは愛情はあるけど『Love』じゃなくて『Like』だ”って振られました。 チーフや先輩見てたら羨ましくなっちゃって、俺も自分を認めて解放しようって。 …そんな時に告白されて。」 そう言って意を決したように、勢いよくぐびぐびとビールを飲んだ。 「はあっ…営業三課の竹中さん…なんです…」 「「ええーーっ!竹中さんっ!?」」 また見事に斗真とハモった。 高橋は一層頬を赤らめて頷いた。 びっくりし過ぎてまたフリーズしかけた。 「…竹中さんって…“難攻不落のやり手のイケメン”だろ? どんな美女が告っても、丁重にお断りされる…泣いた女は数知れずって言われてるよな。」 「そうそう! 『あの人の恋人は一体どんな完璧な人なんだろう』っていつも噂になってるじゃん!」 「そのイケメンが何でお前なの? …あ、言い過ぎた。 お前だってかわいい系イケメンなんだけど、何処で接点があったの?」 どうしてもこの二人が結びつかない。

ともだちにシェアしよう!