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第743話

「その辺はあの人が上手いことやるはずだよ。 あ、早めに二人でボスの所に行って報告しといた方がいいぞ。 俺達も相当助けてもらってるから。 力のある協力者は必要だよ。」 「分かりました。 …でも、本当に俺なんかでいいんですかね?」 「そんなこと、惚れた相手にしか分かんねーだろうが。 竹中さんに直接聞けよ! あのなぁ、高橋。 恋愛に心構えなんていらないんだ。 俺達に相談する時点で自分の腹、決まってるんだろ? こんな所で油売ってないで、さっさと答え伝えてこいよ。 あのイケメン、クリスマスからずっと生きた心地もしない思いを抱えて待ってるぞ。きっと。 正月どころの騒ぎじゃなかったと思う。 気の毒だな。 ほら、早く行ってこい。 下世話な話だが、を綺麗にする方法知ってるのか?ネットで見りゃ出てくるから。 何なら明日有休やるから。お前が来なくても手続きはしといてやる。遠慮はいらないぞ。 じゃあな。」 「希…何て言い方するんだよ… おい、待て高橋。」 斗真は高橋の横に行くと、何やら耳打ちを始めた。 それを聞く高橋の顔が、見る見る赤く染まっていくが、斗真の言うことをちゃんと聞いているのだろう、時折頷きながら ひと言も聞き漏らすまいと真剣なのが見て取れる。 手持ち無沙汰の俺は、少し冷めてしまった焼き鳥に被りついた。 ウーロンハイで流し込み、ふっと二人を見ると、何やら盛り上がっていた。 何だよ。俺を()け者にして。 あー…俺じゃなくって、最初から斗真に相談だったんだろ? あっ、俺の斗真に近付き過ぎだって! 「チーフ、先輩、ありがとうございました。 俺、今から行ってきます! あ、これお勘定」 「いいよ、ここは俺の奢りだ。 あとで結果教えろよな。 明日お前は有休だ。いいな!」 ぺこりと頭を下げると、高橋は脱兎のごとく飛び出して行った。

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