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第747話
俺は斗真にくっ付いて、顎を肩に乗せると
「そうだよ。甘えたいんだよ。」
と拗ねたように言い、ぐりぐりと下半身を擦り付けた。
斗真は、俺から腰を少し引くと
「オイタハ ダメダヨ」
と片言で言うから、思わず顔を見合わせて吹き出した。
「…とぉーまぁ…」
「…さっき約束しただろ?エッチはなしだよ、希君。
金曜日まで、お・あ・ず・け…」
「とぉま…そんなぁ…」
「平日から、そんなハードなことできない。
明日仕事にならないだろ?
俺の腰が砕けてもいいのか?」
「…それは困る。」
「だろ?“ぎゅう”して寝てやるから…な?それで我慢しな?」
「うーーーっ」
「ほら、希…良い子だから…な?
よしよし。」
斗真は俺の頭をポンポンと撫でると、俺から腰を完全に引いて
「上気せる前に出るぞ。」
と、俺を置いてさっさと出て行ってしまった。
「甘えたいって言ってるじゃん。」
ボソリと呟くと、慌てて後を追った。
着替えを済ませて寝室へ行くと、斗真がベッドの端に座っていた。
「希、おいで。」
両手を広げ、俺を待っている斗真の胸に飛び込んだ。
「斗真っ!」
「うわあっ」
勢い余って、二人で倒れ込んだ。
スプリングが跳ね、二、三度バウンドした。
のしかかる形になった俺は、そのまま斗真を抱きしめる。
ふわりと同じシャンプーの香りが鼻を擽った。
「斗真…好きだ…」
「知ってるよ。俺も好きだから。」
「甘えたいんだ。」
「それも知ってる。俺も甘えたいから。」
「俺だけを…見てほしい。」
「見てるよ。希しか目に入らない。」
「愛してるから…」
「うん。一生離すなよ。」
俺がほしい言葉を即答で返してくれる斗真が愛おしくて愛おしくて…
無言で斗真を抱きしめる俺の背中をずっと温かな手の平が摩ってくれていた。
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