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第750話
家を出る寸前、携帯が鳴った。
高橋からのラ◯ンだ。
上手くいったのか?どうせラブラブの一夜を過ごしたんだろ?
分かってるよ。昨日、有休にしてやるって言ったから、わざわざ連絡いらないって。
律儀な奴だな、と感心しながらタップして開くと
『遠藤チーフ様
この度は私的なことでご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
連休明けお忙しいのは重々承知しておりますが、高橋の有休申請よろしくお願い致します。
奥様にもよろしくお伝え下さい。
竹中 英司 』
ぶほっ。
びっくりして携帯を落としそうになった。
竹中さんっ!?
何で高橋の携帯から?
あ…そういうことね。
これ以上、他人様の恋愛に首を突っ込まないよ。
それより急がなくちゃ。
慌てて鍵を閉め、先に玄関を出た斗真を追い掛けた。
「斗真、これ。」
エレベーターに乗り込んでから画面を開いて見せると
「うおっ!?竹中さんからっ!?
…デキル男はやることが違うよな…
高橋の有休、今日一日で足りるのか?
他人事ながら、足腰立つのかよ…」
ぶつぶつとひとり言を言いながら、斗真が心配していた。
既読になっているから、急いで『こちらのことは気になさらないように』という旨の文章を簡単に返信して、ともかく会社へと辿り着いた。
エレベーター前で…竹中さんとバッタリ会ってしまった。
「あの、遠藤チーフ…」
俺はそれ以上言うなというように片手を上げて制した。
「アイツのこと、よろしくお願い致します。」
「はいっ!命に代えても。」
うわぁ…臆面もなく言いやがった…ラブモード全開の竹中さんにアテられてクラクラする。
恋を成就した男っていうのは、こんなに自信に満ち溢れてるんだな…
彼一人で出社ということは…高橋は動けずにお留守番か…気の毒に。
彼は、横にいた斗真にも目礼して、同じフロアで降りると颯爽と先に行ってしまった。
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